「こんにちは」のパワー
数日前、自転車である公園の入り口に来た時のこと。
その入り口は坂になっていて、
片側は階段、もう一方の側はスロープになっていました。
入り口は、スロープの上にありました。
●スロープの男の子
私は自転車に乗っていたので、
そのスロープの方を通ろうと思ったら、
ちょうど、幼稚園か小学校1年生くらいの男の子が、
小さい自転車に乗ってそのスロープを上がってきました。
狭いスロープです。
一度に二人は通れないので、
私は、その子がスロープから降りるのを待って、
通っていこうと思って、入り口のところで止まっていました。
すると、その男の子は、私を見て
「こんにちは~!」
と明るくて大きな声で挨拶をしてくれました。
私は嬉しくなって、
「こんにちは!」
と返事をしました。
続けて、その男の子は
「どこに行くの?」
と聞きました。
「うん、おうちに帰るんだよ」
と返事をすると、
「おうちはどこ?」
と聞きます。
私は、自分の町の名前を言おうかと思ったけれど、
たぶん、この子は知らないだろうな、と思って、
「あっちの方」
と、自分が行こうとしている方角を指差しました。
スロープの下の方にいたお母さんが、
子供の態度を不躾だと思ったのか
「すいません💦」
と、私の方を見て、謝っていました。
もちろん、私は、全く問題なく、
その子との会話がとても楽しいものだと感じていました。
その子は
「ふーん」
と言うと、
勢いよくそのスロープを
自転車で下っていきました。
今時の自転車なのか、
スタンドがついていないタイプのもので、
止まるには、自分の足で止めないとならないようです。
その子は、勢いよく降りながら、
靴のつま先で、ジジジ~っと地面を引きずり
自転車を止めました。
その様子を見ながら、私は
「ああ、あれでは、すぐに靴に穴が開くだろうなあ」
と、心の中で、苦笑しました。
●子どもを信じて見守る
短いけれど、けっこう急なスロープで、
スピードが出ます。
なかなか危険でもあります。
走っている分にはとっても気持ちがいいだろうなあ、
と思うと同時に、
ともすれば、親は
「危ないからやめなさい」
と言いそうな急勾配だな、とも思いました。
でも、そのお母さんは、
子どもが靴を引きずろうが、急な坂を降りようが、
ニコニコ笑って見ていました。
その態度からは、子どもへの信頼感が伝わる気がしました。
今、自分の子どもが、
どれくらいのことまでならできるのか、
その力も把握しているんだろうな、
と思いました。
子どもには怪我はつきもの。
命に関わるような大きなものでなければ、
多少は目を瞑って冒険させることも必要。
そうでなければ、
子どもはできることしかやらなくなり、
ちょっと上のことにチャレンジすることが
なくなります。
子どものチャレンジと成長を育める
素敵なお母さんだな、と思いました。
写真はイメージです。
●「こんにちは」でできること
ところで。
私は、
その男の子に「こんにちは」と言われた時、
不意をつかれたように思った自分に
はっとしました。
なぜ、自分から声をかけなかったのだろう?
私自身「内省」という資質が強く、
頭と口が遠いのは遠いのですが、
挨拶なんて、別に頭で考えてするものでもありません。
男の子に声をかけてもらって、
こんなに嬉しく明るい気持ちになるのだから、
その一言は、
どんなお薬や食べ物より、
心に効く、活力剤だと思いました。
お金がかかるわけでもない。
手間がかかるわけでもない。
たったひとことの、「こんにちは」が、
どんなにパワフルか。
男の子にひとこと、声をかけてもらって、
私はそのことを改めて思い知りました。
難しいことをあれこれ考えるより、
私自身、とにかく「こんにちは」を振りまこう、
そんなふうに思ったひと時でした。
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